デンマーク屈指の工房 PPモブラー

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私どもが扱っております北欧家具にも様々なものがあり、デンマークにも数多くのメーカーが存在します。その中でも、良質の木材にこだわり少数精鋭で製造を続けるPPモブラー社につき、訪問した時の画像などをまじえご紹介いたします。




【PPモブラー】

PPモブラー社は1953年にピーターセン兄弟により設立された家族経営の工房。二人のピーターセンの頭文字をとり、PPモブラー、と名付けられました。

PPモブラーを設立したピーターセン兄弟

創業した翌年である1954年の写真

PPモブラー社はデンマークを代表するデザイナーであるハンス・J・ウェグナーとゆかりが深く、PPモブラーのロゴや、当時のカタログなどはウェグナーがデザインしています。


PPモブラー社のロゴ

PPモブラーは創業後、様々なメーカーの下請けとして家具のパーツを製造していましたが、ウェグナーからの要望などもあり、1991年頃より自社で一つの商品を完成体まで製作するようになります。このようにして、ウェグナーとPPモブラーは2人3脚で家具を作り続けるようになりました。

ウェグナー(左)と初代工房長のアイナ・ピーターセン(右)
 
 
工房でもいつも試作・対話をしていたようです。
 
職人と話をするウェグナー

PPモブラーを代表する家具としては「ザ・チェア」「PP701」「ベアチェア」などがあります。いずれも北欧家具の名作です。

ウェグナーの代表作
「ザ・チェア」
 
北欧家具の中でも最上級のかけ心地
「ベアチェア」
 
 
自邸のためのダイニングチェア
「PP701」

デンマークには、フリッツ・ハンセンやカール・ハンセンなど大変著名な家具ブランドがありますが、そのような大きな規模のいわゆる「メーカー」と異なり、PPモブラーは少人数で製造を続ける「工房」と呼ぶにふさわしい場所です。

そのようなPPモブラーも最近は人数も増え、2023年時点で65人の社員がおり、そのうち職人は50人。これは今までで一番の規模ですが、これ以上の増員はスペース・教育の観点から難しいとのことです。

2013年頃の写真


【PPモブラー ショールーム】

このような特徴・歴史のあるPPモブラーですが、その工房はデンマークの首都・コペンハーゲンから車で約30分ほどの場所にあります。私は2019年と2022年の2回、PPモブラー社を訪問しました。コペンハーゲンに比べればだいぶ落ち着いたところですが、コペンハーゲンまでもそこまで遠くはないため、立地は比較的便利な場所にあると思います(なお、PPモブラーの工房から歩いて20分ほどの場所にはフリッツ・ハンセン社の本社もあります)。

PPモブラー工房の外観

こちらの建物とは別棟の2階にショールームがあります。ショールームスペースはそこまで広くありませんが、日本ではあまり見ることのできないアイテムも多数展示されています。




【工房内部】

それでは、工房のご紹介をしたいと思います。色々なセクションに分かれていますが、どの場所にも共通して言えることは工房の内部はとにかく木材だらけ、ということです。加工前の木材や製作途中のパーツなどが所狭しと並んでいます。



【木材に対するこだわり】

PPモブラーの大きな特徴の一つに、木材に対するこだわりがあります。一般的な家具メーカーは丸太をスライスした状態で仕入れてきて加工することが普通であり、この点に関しましてはPPモブラーも同様にそのような木材も使用します(この場合、樹齢は約80~100年程度です)。

ただし、一部の製品にはこれらのスライスされた木材よりもさらに厚みが必要になるため、PPモブラーでは丸太の状態で購入し、カットします。これらの大きな木は「シェルターツリー」と呼ばれ、樹齢は約200年ほど。その後、木材にまだ水分が残っている状態で椅子のパーツとしてある程度の大きさを切り出し、約2年ほど乾燥させます。つまり、2年後に作る椅子を見据えて、現時点でカットすることとなります。



乾燥に関してもPPモブラーは大変厳しく、木材中に含まれる水分量がかなり少なくなるまで乾燥させます(6%以下)。ここまで乾燥させると、木材のうち8割ほどは割れてしまうのですが、残った2割の木材は家具になった時に長く使える材料となります(長く使っていても、木材が反ったり、暴れたり、割れたりしにくいです)。PPモブラーは、「私たちはこのようにして木材に対しテストをしている。このテストは過酷だが、この試験に合格した木材だけを使い、長く使える家具を作る」と話していました。

工房で乾燥中の木材
 
こちらはパーツにある程度切り出した状態で乾燥させているところです。
 

【素材に対するこだわり テーブルの天板】

一つのテーブルを作るときも、「同じ1本の木から一つの天板を作る」ということを実践しています。もともと同じ木であったため、その後の経年変化(色や伸縮)が合いやすいからです。以下の写真に、木材の間にグレーのしるしがあるのが見えるかと思います。そのしるしから上がもともと1本の木で、その下はまた別の1本の木でした。ですので、この上下の木材をまぜて使うということはPPモブラーでは行いません。


作られたばかりの新品のときはなかなか分かりにくいですが、長い年月使用していくと、このように管理していたかどうかで違いが出てきます。下の画像は、PPモブラーではない工房がかつて作っていたテーブルの天板です。部分的に白くなっているのがお分かりになるかと思います。このような経年変化のばらつきが出ないよう、PPモブラーでは「一つの天板を作るときは、同じ一本の木から作る」ということを行っています。

PPモブラーではない工房が製作したテーブルの天板。
経年変化にばらつきがある。
 

【稀有なこだわり】

他にもPPモブラー社にまつわるストーリーは沢山あり、にわかには信じられないような話も数多くありますが、それはまたの機会にお伝えしたいと思います。現時点で、木材を用いたデンマーク家具の中で最高峰と言えるのではないでしょうか。実際のかけ心地や安定感も素晴らしく、家具として、また、作品として、多くの人々を魅了しています。



店舗にて、ベアチェアをはじめPPモブラーの作品を展示しています。

詳細は是非とも店舗までお問い合わせくださいませ。

※2023年より完全事前予約制。ご予約はこちらのページよりお願いいたします。


当店展示中のベアチェア
 
 


【インテリアコーディネート】

※当店ダンスク ムーベル ギャラリーではインテリアコーディネートも行っております。

詳細はこちらのページよりご覧くださいませ。

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