こちらの画像の作品、一見するととてもユニークで特徴的な形をしています。こちらは、デンマークを代表するデザイナーであるハンス・J・ウェグナーが1953年にデザインをしたPP250、通称“バレットチェア”という作品です。
今回は、バレットチェアにまつわるストーリーなどをお伝えしたいと思います。
従者の椅子と呼ばれたバレットチェアとは
商品名を“PP250”、通称“バレットチェア”と呼ばれるこの椅子の独特な形状には、理由があります。
独特なフォルムをした背もたれはハンガーとして使用でき、ジャケットをかけることができます。座面の上部には小ぶりな取ってが左右についており、取っ手を手前に引いて座面を立ち上げると、座面部分にスラックスをかけることができます。
また、座面下には収納スペースがあるため、腕時計やアクセサリーや鍵など身に着けていた小物を一か所に全て収納することができてしまいます。



このように、こちらのチェアが1脚あるだけで「身の回りのものが全て片付いてしまう」ため、バレットチェア=従者の椅子と呼ばれたり、バチェラーズチェア=独身者の椅子などとも呼ばれています。
確かに、疲れて家に帰ってきたときなど、この作品が1脚あるだけでとても便利だろうとなと感心させられる一脚です。
バレットチェア 誕生のきっかけ
当初バレットチェアは、1943年に4本脚のモデルがデザインされました。建築学の教授やデザイナーを交え、「就寝時の衣服をいかに効率的に整頓するか」につき長期にわたる話し合いを行い、その結果、ウェグナーはこの作品を生み出したのです。
もともと4本脚だったバレットチェアですが、ウェグナーはそのデザインに納得せず、3本脚にすることで重い印象を払拭しました。3本脚のモデルは1953年の「キャビネットメーカーズギルド展」という展覧会に出品され、その場でデンマーク国王が自身のために1脚、さらに友人へのプレゼント用に5脚を予約したそうです。
機能を損なうことなく美しい佇まいをみせるのは、さすがウェグナーと言えます。

木材に対するウェグナーの想い
1953年の発表当時、ウェグナーは「背もたれ:パイン材、座面:チーク材」にてオリジナルを製作しました。当時、パイン材は安価な材料として用いられており、高級な家具には用いられることはなく、いわば「安物の木材」と認識されていました。一方、チークは高級な材料として扱われており、どのデザイナーからもチークはとても良い、素晴らしい木材と認識されていました。
ただ、ウェグナーはそのような当時の風潮に異論を持っていました。木材には上下関係も優劣もなく、適材適所使い分ければ各々の木材の良いところが発揮できる、と考えていたのです。木工職人であるウェグナーは木材に対する深い造詣と真摯な想いで向き合い、大切な木材を無駄にせずに同等に使い切るため「一番安価な木材」と「一番高価な木材」を同じ椅子に使ったのが、こちらのバレットチェアになります。
実はバレットチェアと同様の発想で作られたウェグナーの椅子は他にも挙げられます。たとえばpp701ミニマルチェアは、背面からアーム部分を繋ぐ契部分の木材の違いが色の対比となり、美しい意匠として落とし込まれています。
バレットチェアを発表した当時は「パインとチークを同じ椅子に使うなんて考えられない」という反応も多かったようですが、ウェグナーは意に介さなかったようです。このように、バレットチェアにはウェグナーの考える木材に対する想いが強く反映された、とてもメッセージ性のある作品なのです。
製造の難易度
バレットチェアは製造に高度な技術が要求される作品でもあります。聞いた話によりますと、以前、PPモブラーの工場に大量にバレットチェアのパーツが置いてあったことがあったそうです。
なぜこんなに大量にバレットチェアのパーツが置いてあるのか聞いてみたところ、「バレットチェアは作るのにとても技術が必要で、この椅子を作ることができれば大体の椅子は作ることができる。だからバレットチェアのパーツ製作を通じて技術を磨いている」という答えが返ってきたのだそうです。
形は独特な細い曲線が特徴ですが、座ってみると体に優しくフィットしてくれる作品で、デザイン性だけでなく機能性も備えています。




当店展示中のバレットチェア
現在当店にて展示しておりますバレットチェアは、ウェグナーがオリジナルにて製作をしたものと同じ「背もたれ:パイン材、座面:チーク材」の仕様になります。
バレットチェアはとてもユニークな形をしていますが、そのフォルムや素材には、ウェグナーらしい発想とストーリーが秘められています。とてもデンマークらしい、まさに機能美から生み出された一脚となっております。
尚、展示状況は都度変わりますため、ご来店前にお電話もしくはメールにて展示につきお問い合わせくださいませ。

>>製品詳細

【PP250 バレットチェア】
■メーカー:PPモブラー
■デザイナー:ハンス・J・ウェグナー
■サイズ:W51×D50×H95cm (座面の高さ45cm)
■商品ページ:PP250 バレットチェア
instagramでもご紹介しております。
当店DANSK MOBEL GALLERY(ダンスク ムーベル ギャラリー)は、インテリアコーディネートをはじめ、ポール・ケアホルムの家具を多数揃えるフリッツ・ハンセンの他、ハンス・J・ウェグナーの名作家具を製作するPPモブラー、デンマークの照明メーカー ルイスポールセンなどをお取り扱いする正規代理店でございます。
家具・照明・カーテン・ラグ・アートなど、インテリアに合わせてトータルにご提案をさせて頂きます。インテリアコーディネートやサイズ・使い心地など気になる事がございましたら、どうぞお気兼ねなく店舗までご相談・お問い合わせくださいませ。
尚、現在店舗は完全予約制でございます。ご来店をご希望の方は、こちらのページもしくはインスタグラムのDMにてご連絡くださいませ。
【インテリアコーディネート】
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