モーエンス・コッホのブックケースシステム①

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※こちらでご紹介をしております内容は、2020年までカール・ハンセン社にて製作をしておりました際のものとなります。その為、現行品であるGETAMA社で製作された物と違いがある場合がございます。内容により、都度確認を取らせて頂きます。(2022年8月 追記) ※

 

 

 

ここに一冊のリーフレットがあります。

 

デンマークで140年間続いた今はなき老舗の家具工房、ルド・ラスムッセン(RUD・RASMUSSENS)で製作された書棚を紹介したものです(以下の画像はリーフレットからのものですので、現行品と一部異なる仕様がございます)。

 

Koch1

 

 

この書棚のデザイナーは、モーエンス・コッホ(MOGENS KOCH)。デザインされたのは1928年、そしてルド・ラスムッセンで製作が開始されたのは1932年です。その製作はカールハンセン&サン(CARL HANSEN & SON)に引き継がれ、現在も製造が続いています。

80年を越えてそのデザインの色褪せることのない魅力は、どのような背景によるものなのでしょうか。そのようなことも含め、このブックケースシステムをご案内させていただきたいと思います。

 

 

Koch12

 

Koch6

 

 

 

【デザイナーについて】

 

MogensKoch

 

モーエンス・コッホ(MOGENS KOCH)は、1888年デンマークに生まれました。1925年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業し、彼がキャリアをスタートさせたのは、学校で学んだコーア・クリント(KAARE KLINT)の事務所です。1930年までアシスタントとして勤務しました。

コーア・クリントは、デンマーク近代家具の父と呼ばれた人。シンプルで力強い卓越した作品を残しただけでなく、教育者としても大変優れた人物でした。人間工学の先駆けとなる考え方や、伝統から学び、現代に照らし合わせて再考するという「リ・デザイン」の概念を構築しました。コーア・クリントは1920年に自己の事務所を設立し、その4年後にデンマーク王立芸術アカデミーに講師として招かれ、家具科を設立しています。

モーエンス・コッホが卒業と同年にクリントの事務所に入所できたことを考えると、学生時代、クリントに多大な影響を受けたのと同時に、彼が傑出した生徒であったことが伺われます。そして後年、母校の教授に就任し、数々の賞も受賞しています。

 

 

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モーエンス・コッホによるデザインのラウンジチェア、“MK51”。かつてルド・ラスムッセンより製造・販売されていました。

 

コッホは、クリントの事務所のアシスタント時代に学んだ手法 —— 始めにフォルムがあるのではなく、用途や適した寸法など、その家具に求められる要素がフォルムを決定する —— を着実に自己のデザインに反映させました。モーエンス・コッホのデザインは、その人となりを現すと同時に、偉大な師であるコーア・クリントの存在を抜きにすることはできないと言えるのではないでしょうか(コーア・クリントについてはこちらのブログを是非ご覧ください)。

 

次回は、モーエンス・コッホが作り出した書棚のデザインについてお話をさせていただこうと思います。次回もどうぞお付き合いくださいませ。

 

 

 

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