先日のブログではデンマーク人デザイナーであるハンス・J・ウェグナーについてお話しをさせていただきました。ウェグナーシリーズが続きますが、今回のブログでは現在当店に展示中の“PP503”、通称「ザ・チェア」についてお話しさせていただきます。

「ザ・チェア」は、ウェグナーの代表作ともいえる椅子。腰痛もちであった故ケネディ元アメリカ大統領は、「座っていて疲れず、かつ、座る人が美しく見える椅子」という理由から、1960年の大統領選TV討論会の際にこの椅子を選びました。その写真は、この椅子のエピソードを示すものとして大変象徴的な一枚となっています。ちなみに、このときジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが座った2脚の椅子は、銀のプレートを付されてスミソニアン博物館に展示されているとのことです。
ザ・チェアはこれみよがしなところのまったくないシンプルなデザインですが、置かれた場に確かな存在感を静かに放ちます。その姿は、まさにその名の通りの椅子と言えるでしょう。この品格、一体どこからくるのでしょうか。
ザ・チェアに触れてみたり、座ってみたりという時間の中で感じたことは、この椅子が人の「座る」「体を預ける」という行為について、よく考えられているということです。その座り心地はゆったりとしたものでありながら、奥行きも適切で大きすぎることがなく、座る人をすっぽりと優しく包んでくれます。背中にあたる背もたれの感触もとても心地よく、アームには自然と腕がのります。
ザ・チェアの4本の脚部は、座面の荷重を支える接合部に自然な膨らみをもたせてあります。古代ギリシャの神殿や日本の飛鳥時代の寺院の列柱に工人がわずかに膨らみをもたせたように、それは視覚的にも安定感をもたらします。
そして、その4本の脚が支えるアームの先端は、座った時に思わず手で包みたくなるような美しいそりのあるフォルムとなっています。
笠木(アーム兼背もたれも木部)は3つのパーツを接ぎ合わせて出来ています。フィンガージョイントと呼ばれる接合は意匠を兼ねており、流れるような曲線にアクセントを与えています。アームの先端から背中を支える背面へと手で追っていくと、自然でなめらかなここちよいリズムを感じることができます。
ごく自然に見えるようなフォルムを形態に与え、考えを重ねたウェグナー。それを形にした作り手と、その作品に相応しい素材との対話をたどるような、そんな気持ちになりました。どうぞぜひ、その美しい曲線の流れに手を触れ、座り心地をお試しくださいませ。(以前、ザ・チェアについて書きましたこちらのブログも是非とも御覧くださいませ)。
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