ハンス・J・ウェグナーがデザインした「ベアチェア(PP19)」は、デンマークの家具工房PP møbler(PPモブラー)が製作する、ウェグナーを代表するラウンジチェアのひとつです。
大きく身体を包み込むような背もたれと、両側へ張り出した特徴的なアーム、美しい木部のディテールが印象的で、ゆったりと身体を預けられる座り心地も大きな魅力です。
しかし、ベアチェアの魅力はその姿だけではありません。内部には複雑な木製フレームやさまざまな素材が使われ、PPモブラーの職人による多くの工程を経て一脚ずつ製作されています。
この記事では、実際にデンマークのPPモブラー工房を訪れた際の写真も交えながら、ベアチェアの構造や素材、張り込みの工程、豊富なバリエーション、そして座り心地まで詳しくご紹介します。

ベアチェア(PP19)とは
「北欧家具の王様」とも称される、ハンス・J・ウェグナーの代表作「ベアチェア」。現在はデンマークの家具工房PP møbler(PPモブラー)によって製作され、正式な製品名は「PP19」です。
大きく張り出した背もたれとアーム、ゆったりとした座面を備え、数あるウェグナーのラウンジチェアの中でもひときわ存在感のある一脚です。
実際に座ると、身体全体をしっかりと受け止めてくれる安定感があり、腰から背中、肩まで自然に身体を預けることができます。
また、座面の上であぐらをかいたり、少し横向きに座ったりと、ソファのように姿勢を変えながらくつろげるのもベアチェアならではの魅力です。


ベアチェアを製作するデンマークの家具工房「PPモブラー」
現在ベアチェア(PP19)を製作しているのが、デンマークの家具工房PP møbler(PPモブラー)です。良質な木材にこだわり、熟練した職人による家具づくりを続けています。
2019年に初めて弊社スタッフがデンマークのPPモブラー工房を訪問し、実際の家具製作の現場を見学しました。
ここからは、その際に撮影した工房や製作工程の写真も交えながら、外からは見ることのできないベアチェアのフレーム構造や素材、張り込みなど、PPモブラーのものづくりをご紹介します。
ベアチェア(PP19)のフレーム構造
多くの椅子では、フレーム同士をネジやボルトなどで接合して組み立てます。
一方、ベアチェアのフレームは、木材同士を組み上げる木工の技術によって構成されています。こうした構造によって椅子全体の形をつくりながら、長く使い続けるための強度を確保しています。
木で組み上げることにより、ゆるみによって生じる椅子自体のガタツキが出にくく、長年の使用に適うよう耐久性や耐荷重性を高めることができるのです。
フレームには、主にビーチ材とパイン材が使われています。構造の基礎となる部分にはビーチ材を、ファブリックやレザーなどを張り込む部分には比較的柔らかなパイン材を使用するなど、それぞれの役割に応じて木材が使い分けられています。



完成したベアチェアでは、後ろ脚はわずかに見える程度ですが、内部を見ると、後ろ脚からアーム下部へとつながる部分に、太い一本の木材が使われていることが分かります。
PPモブラーの工房で説明を受けたところ、複数の木材を接合してつくる方法に比べてコストはかかるものの、接合部分が弱点となることを避けるため、この部分には一本の無垢材を使用しているとのことでした。
完成後には張地に覆われ、ほとんど見えなくなる部分ですが、長く使い続けるための強度を考えたPPモブラーのものづくりが、こうした内部構造にも表れています。

前脚の接合部にはくさびが用いられています。構造上必要な接合部を隠すのではなく、そのディテール自体がベアチェアの美しい意匠のひとつになっています。

アーム先端の木部にも金具を使用せず、木製のダボによって固定されていると工房で説明を受けました。
この構造は、長年の使用によって傷みが生じた場合にもパーツを交換しやすく、家具を修理しながら長く使い続けることを考えたつくりになっています。


このように、まず木製フレームを組み上げてベアチェアの土台をつくります。次の工程では、このフレームにさまざまな素材を重ねながら、ベアチェアならではのボリュームと座り心地をつくり上げていきます。
ベアチェア(PP19)の座り心地をつくる8種類の中材
ベアチェアの包み込まれるような座り心地を生み出している要素のひとつが、内部に使われているさまざまな中材です。
完成した状態では外から見ることができませんが、内部には馬毛(horse hair)、麻(tow)、ヤシの葉(palm leaves)、動物の毛を混合したマット、綿(cotton)、コイルスプリング、麻のストラップ、麻袋に入れたコイルスプリングなど、性質の異なる8種類の素材が使われています。
PPモブラーでは、それぞれの素材が持つ弾力や柔らかさなどの特性を生かし、使用する場所に応じて使い分けています。


それぞれの素材が持つ特徴を生かし、職人が一脚ごとに手作業で調整しながら、素材を何層にも重ねていきます。
完成すると見えなくなる内部にも多くの工程があり、こうした素材の使い分けと職人の手仕事によって、ベアチェアならではの身体を包み込むような座り心地がつくられています。
2025年にPPモブラー工房を再訪した際にも、ベアチェアに使用される中材について実物を見ながら説明を受けました。完成後には見えなくなる部分にも、多くの素材と手仕事が用いられています。



ベアチェアのボリュームのあるフォルムは、単に厚いクッション材を入れることでつくられているわけではありません。性質の異なる中材を適材適所で重ね、それぞれの弾力や柔らかさを生かしながら、職人の手によって形を整えていきます。
外からは見ることのできないこうした内部構造が、身体をしっかりと受け止めながら包み込むような、ベアチェア独特の座り心地につながっています。

断面を見ると、木製フレームの上に複数の中材が重ねられ、最終的な張地へと仕上げられていく構造がよく分かります。
ベアチェア(PP19)の張り込み|職人による手仕事
木製フレームが組み上がると、8種類の中材を使いながら、職人の手によって一脚ずつ張り込みが行われます。素材を重ねる位置や張り具合を調整しながら、ベアチェア特有の立体的なフォルムをつくり上げていきます。




背もたれには、麻袋に入れたコイルスプリングが並べられています。その上から中材を重ね、最終的にファブリックやレザーを張り込んで仕上げていきます。
完成すると内部を見ることはできませんが、こうした構造によって、身体を預けたときにしっかりと受け止めながら、適度な弾力を感じられる背もたれがつくられています。

PPモブラーのベアチェア製作|2019年・2022年・2025年の工房訪問
弊社では2019年、2022年、2025年と、デンマークのPPモブラー工房を継続して訪問し、ベアチェアをはじめとする家具の製作現場を見学してきました。
2019年の訪問時には、高さを調整できる作業台の上にベアチェアを置いて張り込み作業が行われていました。2022年には、椅子をさまざまな角度に固定しながら作業できる設備が導入されるなど、製作環境にも変化が見られました。
そして2025年に再び工房を訪れた際にも、ベアチェアの製作工程や、内部に使用される素材について実物を見ながら説明を受けることができました。



2019年の訪問時と比較すると、職人による手仕事はそのままに、作業する位置に合わせてベアチェアの高さや角度を変えられる設備が導入されていました。
2025年、再びPPモブラー工房へ
2025年にもPPモブラー工房を訪問しました。今回の訪問でも、ベアチェアの製作工程を改めて見学するとともに、これまで写真だけでは分かりにくかった素材や構造について、実物を見ながら理解を深めることができました。

2019年、2022年、2025年と工房を訪れてきました。3回の訪問を通して印象に残るのは、ベアチェアの製作に今も多くの手仕事が残されている一方で、職人が作業する環境や設備には変化が見られることです。完成したベアチェアからは見えない部分にも、さまざまな素材と工程、そして職人の手仕事が重ねられています。
ベアチェア(PP19)の豊富なバリエーション|張地・レザー・木部の組み合わせ
ベアチェアは、本体・シートクッション・爪・脚・パイピング・ボタンの素材(ファブリック/レザー)やカラーを組み合わせて仕様を選ぶことができます。
張地だけでなく、細部の素材や色の組み合わせによって印象が大きく変わるのも、ベアチェアの魅力のひとつです。



ベアチェア(PP19)のサイズ
ベアチェア(PP19)のサイズは、幅90cm、奥行95cm、高さ101cm、座面高42cm、アーム高65cmです。
存在感のあるラウンジチェアですが、実際に座ると高い背もたれと両側のアームに身体を包み込まれるような安心感があります。
サイズ感は数字だけでは分かりにくいため、ご検討の際には実際に座ってお確かめいただくことをおすすめします。
ベアチェア(PP19)の座り心地|内部構造と職人技が生み出す快適さ
このようにして、ベアチェアはデンマークのPPモブラー社で1脚ずつ丁寧に製造されています。
外から見ただけでは分かりませんが、実際にベアチェアにかけていただくことで身体全体で感じられる安心感がその品質を物語ります。

デザインだけではなく、構造・素材の用い方、職人の技術など全てが備わり、初めてベアチェアは完成します。包み込まれるような安心感のある掛け心地は圧巻で、デンマークの方の中でも「いつかはベアチェアのオーナーになりたい」という想いを持つ方が多いことも納得です。


べアチェア(PP19)の納品事例
先日、岡山県のお客様にベアチェアを納品させていただきました。
お客様のお部屋まで、大切にお運びさせていただきました。

座り心地に大変感動されており、
【座ると快適すぎてすぐに寝てしまうほどで、家族で「ベアベッド」と呼んでいます。】と嬉しいお言葉を頂きました。
また、こちらはロロピアーナインテリアの特別なファブリックで仕上げたべアチェア。
ロロピアーナの極上の肌ざわりでさらに特別感が増した仕上がりに。
当店でロロピアーナの生地をご選定いただき、イタリアのロロピアーナからデンマークのPPモブラーの工房に生地を直送して製作に入ります。

ベアチェア(PP19)を大阪で実際にお試しいただけます
ベアチェア(PP19)は、大阪の当店で実際にお試しいただけます。
写真だけでは伝わりにくいサイズ感や、身体を包み込むような独特の掛け心地を、ぜひ実物でお確かめください。
ご来店時にスタッフまでお声がけください。ベアチェアをご案内いたします。確実なご案内をご希望の場合は、事前にお問い合わせいただくこともできます。
張地や木部の組み合わせ、仕様、価格についてもお気軽にご相談ください。
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