【開催中】「ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展」

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現在、東京・日本橋髙島屋にて、「ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展」が開催されています。

こちらの展覧会は、椅子研究家の織田憲嗣氏が収集、研究し、北海道東川町が所有する「織田コレクション」をもとに構成されています。世界的にも名高い同コレクションの全貌に迫る初の展覧会であり、椅子などの家具からインテリアアクセサリーや食器まで幅広く展示されています。

先日こちらの展覧会に行ってまいりましたので、ご紹介させていただきます。




まず、会場に入りすぐのところにはコーア・クリントの家具が展示されています。コーア・クリントは「デンマークモダンデザインの父」と呼ばれた人物で、デンマーク家具の礎を築いた人物です。そのクリントから展示が始まるのは、非常に象徴的でした。コーア・クリントにつきましては以下のブログも是非ご覧くださいませ。

Red chair -デンマークモダンデザインの父、コーア・クリントのデザインした椅子-


コーア・クリントのサファリチェア
 

コーア・クリントは時代の境目・転換期に位置するデザイナーというイメージですが、デザインに風格があり、時代に左右されない硬派で芯のあるデザインだと感じます。コンセプトにおぼれていない、しっかりと地に足の着いたデザインであることはもちろん、彼の家具からは格式を感じます。デンマークモダン家具の源流に位置するのが大変良く分かります。

 

こちらもクリントのデザイン。デッキチェア。
細身な椅子です。
 
 
デッキチェアの真鍮製パーツ。
 

上の画像のような金属パーツにも、大変気を配っていることが感じられます。金属特有の冷たさは感じられず、木材の暖かみと違和感なく調和しています。経年変化も素晴らしいです。全体で統一された印象になるよう、配慮がなされていると感じます。それにしてもとても綺麗なパーツだなとしみじみと見てしまいました。今でもピッタリと木材に埋め込まれている様も見ていて気持ちが良いです。


後ろ脚のデザイン。
 
 

家具において脚のデザインは非常に重要と思います。クリントの家具はレッドチェアファーボーチェアもそうですが、脚が非常に美しく、独特な安定感・安心感もあるところがクリントならではだと思います。デッキチェアの後ろ脚も接地箇所から伸びやかに前方に伸びるシルエットが個人的にはとても好みでした。このように、地面と家具の接点を見ると、デザイナーがどのように考え処理したのかが読み取れる気がします(ポール・ケアホルムも接地面にとても気を遣っているのが見て取れます)。

クリントから始まる本展覧会ですが、様々な北欧の椅子をはじめ、小物などもたくさん展示されています。


 
 
 
 

このように沢山の椅子・デザインを一度に見ますと、自分の好みも再度分かってくるような気がいたします。オーレ・ヴァンシャーの家具も個人的にはやはり好きなデザインです。


オーレ・ヴァンシャーのアームチェア
 

オーレ・ヴァンシャーの家具ほど品の良さを感じさせる家具もなかなかないと思います。主張しすぎず、それでいてしっかりとした存在感もあります。ラインは細いですが不安を感じさせることもなく、曲線は優美でエレガント。なかなか簡単にできるデザインではないと思います。
 
 

先ほどのアームチェアの脚先。何気なく見えますが、脚の面取りや設置部分の緩やかな曲線など、細部にこだわりが見て取れます。シンプルに見えますがこのようなディテールが全体の雰囲気を生み出しています。
 
 
脚部はこのように途中から細くなっています。上に伸るような、伸びやかさを感じさせるデザインです。全体の凛とした佇まいにつながる気がします。
 

コーア・クリントやオーレ・ヴァンシャーをはじめ、じっくり見ていたらいつまでもいられそうです。そんな中、今回の企画展で大変画期的な展示がありましたので、ご紹介いたします。
 
 


【北欧の灯りの使い方が分かるインスタレーション】

よく北欧の灯りは「ヒュッゲ」などとも表現されますが、私たち日本人が肌で感じるのはなかなか難しいのも事実です。今回の展覧会では、朝から夜になるにつれ、どのように北欧の方が照明を使っているのか分かる展示があり、北欧の灯りを体感することが出来ます。


①何も照明がついていない状態
 
②左奥のテーブルランプがつきました。
 
③右奥のテーブルランプ
 
④ペンダントライト
 

大変分かりやすく、素晴らしい展示と思いました。私どもも照明計画をご提案するときは、「一室多灯」をお勧めしており、個人的には「3点セット=ペンダントライト・フロアスタンド・テーブルランプ」でお使いいただくことを御提案しています。3点お使いいただくことで相乗効果が生まれ、1点での使用よりも格段に照明器具が活きてきます。照明は、照明器具から選ぶのではなく、まずは「照明計画ありき」、です。3点すべて同時ではなくとも、少しずつ買い足していくことが出来るのも置き型の照明器具の良いところです。


当店からのコーディネート事例。ダイニングシーンですが、複数の種類の照明を用いています。ペンダントライト、左奥のテーブルランプ、写真には写っておりませんが、右奥にフロアスタンドがあります。絵画用にはユニバーサルダウンライトを設置しています。
 
 
左奥のテーブルランプがあることで、手前のペンダントライトと灯りが重層的に重なり合いますので、空間が立体的になり、奥行き・深みが出ます。絵画にもうっすらと照明を天井から当てています。
 


先ほどの展示はリビングシーンですが、ダイニングシーンでも同趣旨の展示がありました。ちょうど先ほどの当店からのコーディネート事例と同じような灯りの配置でした。
 
 

①何も点灯していない状態。
 
②右奥のフロアスタンド。部屋のコーナーを照らす+ラウンジチェアに寄り添う、という2つの役割を果たしています。
 
③左手前のウォールランプ
 
④ペンダントライト
  

点灯する順番も、「部屋の奥から」「窓辺の近くから」つけたくなる気持ち、大変良く分かります。部屋の奥やコーナーが暗いと奥行きが出ず、いくら自分のいるところが明るくても寒々しい印象になります。北欧の人は、「日が暮れてくると、キャンドルを灯すように窓辺の照明から一つ一つ灯りをつける」と言います。このように、感覚的な部分やそこで過ごす時間、ひいてはそういう時間に価値を置くことも、「ヒュッゲ」には含まれているように感じます(どのような時間を過ごすかという人生そのものに対する価値観が根底にはあるように思います)。

色々なことを考えながらいつまででも見ていたくなるような、とても素敵な展示でした。このような展示をご覧になられて、照明の使い方(ひいては時間の過ごし方)に憧れる方も多いのではないでしょうか。



【ポール・ケアホルム PK13】

他にも小物含め大変魅力的なアイテムが多数展示されていました。当店のお客様からも人気が高いポール・ケアホルムの珍しい家具も展示されています。

 

ポール・ケアホルムのデザイン アームチェア「PK13」
 

ケアホルムのアームチェア、PK13。構造的にいわゆる横の「貫」をいれなかったため、横揺れに耐えることが出来ず、わずかな期間製造されたのみで廃番となってしまいました。

こちらを見ていて、ヤコブセンのオックスフォードチェアと背もたれのラインの印象が似ているなと感じました。
 

アルネ・ヤコブセンのデザイン オックスフォードチェア
 

なかなか普段は見られないスウェーデン・ノルウェーなどのチェアもあり、デンマークと比較してみるのも大変楽しめます。小物の展示もゆっくりと見たかったのですが、あまりにじっくりと見るものが多く、今回は時間が無くなってしまったため、もう一度見に行ければ、、、と思っております。東京のあとは、名古屋、大阪と巡回いたしますので、是非ともお伺いされてみてください。
 
 
 

ポール・ケアホルムのダイニングテーブル「PK54」とダイニングチェア「PK9」。こちらのコーディネートも本当に素敵でした。PK9は横からはもちろん、後姿も本当に美しいですね。
 
 
「ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展」

<会場会期> 日本橋髙島屋 S.C. 本館 8 階ホール 2023 年 3 月 1 日(水)~3 月 21 日(火・祝)
<巡回予定> ジェイアール名古屋タカシマヤ 10 階特設会場
       2023 年 4 月 20 日(木)→ 5 月 7 日(日)
       大阪髙島屋 7 階グランドホール
       2023 年 8 月 9 日(水)→ 8 月 20 日(日)
<ホームページ> https://www.takashimaya.co.jp/store/special/hokuou/index.html





【インテリアコーディネート】

当店ダンスク ムーベル ギャラリーではインテリアコーディネートを行っております。

詳細はインスタグラムのコーディネートアカウントや、コーディネートページをご覧くださいませ。

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