MY DANSK MØBEL ~⑩宮本茂紀さん編~

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DANSK MØBEL とは、デンマーク語で、「DANSK(ダンスク)=デンマークの」「MØBEL(ムーベル)=家具」と言う意味です。

㈱KEIZO代表の砂原啓三が、各方面でご活躍される方々に、現在お使いのデンマーク家具についてインタビューした「MY DANSK MØBEL」の連載をご紹介させていただいております(過去の連載はこちらをご覧くださいませ)。

今回は株式会社五反田製作所グループ代表取締役 宮本茂紀さんへのインタビューです。

 

(左) 株式会社五反田製作所グループ代表取締役 宮本茂紀さん (右)株式会社KEIZO 代表 砂原啓三
(左) 株式会社五反田製作所グループ代表取締役 宮本茂紀さん (右)株式会社KEIZO 代表 砂原啓三

 

 

■お持ちのデンマーク家具を教えてください。

PK1、OX Chair、バレットチェア、CH24(Yチェア)、ピーコックチェア、ハープチェア、チャーチ チェアなど20脚位所有しています。自宅で使用しているOX チェア以外は、会社の資料室に未使用のまま保管しています。

PK1は痛みの激しい状態で譲り受けたのですが、籐を張替えてスチール部分も塗替えをしました。

 

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宮本さんがお持ちのPK1(ポール・ケアホルムによるデザイン)

 

 

アーム付きのチャーチ チェア(フリッツ・ハンセン社製。デザイナー:コーア・クリント)も持っています。Yチェアもペーパーコードですが、チャーチ チェアも座面の前部分のちょうど大腿部の下にくるあたりが低くなり、正面から見て左右が引き上げられていて座り易いですね。

 

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チャーチ チェア。かつてフリッツ・ハンセン社にて製造されていました。

 

 

自宅で使用しているOXチェアは小田急百貨店が開業して数年目の1969年頃に当時40万円くらいで購入したと記憶しています。今でも実際に使っていますよ。傾斜の角度も良くて日本にはあまりないタイプの椅子だと思います。トモエの部分(アームの先端の丸く蓋の様になった箇所)の中に職人の名前が入っていますが、手仕事を感じますね。ただ、スツールの脚部が外側に出ているので、よく歩いていて足をぶつけたり、引っ掛けたりしますね笑。

 

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宮本さんがお使いのOXチェア

 

 

■購入のエピソードなどあればお聞かせください。

私はこれらの家具を手縫いの綺麗さから、ものづくりの手本や参考資料として購入しました。両親が漁師だったのですが、中学校の恩師の親父さんが家具職人で、私はその徒弟(弟子)に入りました。昭和28年当時デンマークの家具が日本でも建築家を中心に盛り上がっていました。イタリア家具はまだでしたね。当時は北欧で仕事をしたいとまで考えていましたよ。

 

■デンマーク家具のどんな点がお気に入りですか?

手仕事が見えるところですね。木のものも、張り込みの家具もそうです。木の家具ではピーコックチェアは技術的に面白いですね。背の曲線は集成材ですが1本に見えるようにつくられている。張物も今の様なミシンを用いた縫製ではなく手縫いの綺麗さや、職人の腕の良さがあります。日本の縫製と違うのは、日本流は縫い目を見せない様にするのに対し、デンマーク流は縫い目を美しく意図して見せているのです。

 

 

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■なぜ日本の人たちにデンマークの家具が受け入れられると思いますか。

僕も若い頃からデンマーク家具が好きだったのですが、素材感ですよね。スチールなんかもそうですけど、木の家具であれば木の持っている良さを主張していますよね。ウェグナーがしたようにデンマークの家具会社は一つの家具でも色々な木種で制作を試みます。普通は生産性もあるので木種を絞りますよね。ファブリックの扱いもそうですね。天然素材を活かしている。それだから安心して使えている、そのように感じています。

 

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ホースヘアの張地にレザーのパイピングを施したラウンジチェア。ほとんど座っていないので綺麗なホースヘアの生地のままです。

 

 

(上記画像の椅子は、インタビュー後に以下の家具と判明しました。)

ヘリテージチェア(1930年)
デザイナー:フリッツ・ヘニングセン

現在はカール・ハンセン社にて製造されておりますが、2013年にカール・ハンセン社が復刻するまでは限られた数しか作られませんでした。安らぎとコンフォートを与える椅子を、ヘニングセンは天然素材を用いデザインしました。ヘリテージチェアの張り加工には熟練した職人でさえも、1脚あたり12時間の作業を必要とします。

 

 

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こちらは復刻したカール・ハンセン製のヘリテージチェア。ボタンの数と位置が変更されており、また、宮本さんがお持ちのホースヘア張地では現在製造しておりません。

 

 

 

 

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【宮本 茂紀さん プロフィール】

1937年静岡県生まれ。椅子張り職人・モデラー。1953年以降、斎藤椅子製作所で修行。
東京の三好木工、高島屋工作所、大阪の三越製作所、内外木材、北海道大島木材工芸などで椅子張り職人として活躍。
労働省中央技能検定委員、東京椅子張同業者組合連合会会長歴任。全日本椅子張同業組合連合会名誉会長。
武蔵野美術大学、多摩美術大学、女子美術大学、駒沢女子大学非常勤講師歴任。厚生労働大臣認定 一級家具製作(いす張り作業)技能士、職業訓練指導員、資格保有。
現在、家具製作の五反田製作所グループ代表取締役。
椅子張り職人として、伝統的な日本の家具の 製作、修復をはじめ、ヨーロッパ家具などの製作は勿論、海外のトップメーカーの商品ライセンス生産化に研究開発段階から着手し、国産化に協力。
また、日本で試作開発を行い、海外での製品化に協力するなど、国内外メーカーの製作部門の一端を支えてきた。