ウェグナーが自邸で愛用したダイニングチェア|PP701

北欧デンマークを代表する家具デザイナーとして知られるハンス・J・ウェグナー。ウェグナーは生涯に500脚以上の椅子をデザインしたと言われています。

ウェグナー自身がデザインし、自宅で愛用したPP701 ダイニングチェアをご紹介します。

PP701とは

PP701は別称”ミニマルチェア”とも呼ばれ、ウェグナー自身が自宅で使うダイニングチェアとしてデザインした椅子です。

PP701
ミニマルチェアとも呼ばれ親しまれる
PP701ダイニングチェア

この椅子の製造を急いでいたウェグナーは、自宅で使う椅子だったこともあり、あり合わせの小さな木材を集めて木製の背もたれを作った、という何ともユーモラスなエピソードが残っています。

また脚部についても背もたれと同様に製造を急いでいたが故、木材を削り出した脚にはせずスチールを用いています。

PP701
ウェグナーの自邸。円卓を4脚のPP701で囲み、すっきりとした設え。

このようにPP701は、ウェグナーが自宅で使う目的でデザインした椅子だったため、販売を目的とした椅子ではありませんでした。現在はデンマークを代表する家具工房の一つで知られるPPモブラーにて製造されています。

PP701の魅力①背もたれに施す”ちぎり”に隠された意匠の意味

PP701
4つの木材を”ちぎり”と呼ばれる十字型のパーツで接いだ背もたれ部

PP701の背もたれは、4つの木材を上下左右に組み合わせて作られており、その中心部を”ちぎり”と呼ばれる十字型のパーツで接いでいます。

”ちぎり”で接ぐことで各木材の粘着の強度を高めてくれ、また美的要素も兼ねています

上下の木材の間に異なった色味の木材がはめ込まれていますが、これにも理由があります。

4つの木片を合わせて背もたれを作ると、色味は同じにもかかわらず木目が合わずに継ぎ目の部分が目立ってしまいます。このような不自然な継ぎ目を目立たなくさせる方法として、敢えて異なる色の木材を挟んでいます。

木種によるちぎりのバリエーションは2つ

PP701で使われる”ちぎり”は、選ぶ木種によって組み合わせが決まっています。

たとえば、背もたれにオークやアッシュ、メープルといった明るいお色味の木種を選ばれる場合、”ちぎり”は深いお色味のローズウッドに、ウォルナットのような濃いお色味の木種を選ばれる場合、”ちぎり”は明るいお色味のメープルが充てられます。

PP701
背もたれ部分にアッシュ材を使ったPP701
ちぎり部分にはローズウッドを採用
PP701
背もたれ部分にウォルナット材を使ったPP701
ちぎり部分にはメープルを採用

”ちぎり”とそれ以外の木部でコントラストが付く組み合わせにすることで自然と”ちぎり”に目線が向き、木目の不自然さを感じにくくさせる効果があります。

PP701の魅力②考え抜かれたアームのデザイン

PP701にはウェグナーらしい椅子のこだわりが随所に見られます。特にアーム部分のデザインは先にご紹介した”ちぎり”以外にも注目したい点が多くあります。

ウェグナーがダイニング用のチェアとして考え抜いたデザインの特徴をご紹介します。

特徴①アームの長さ

PP701はアームの長さにも特徴が見られます。

ウェグナー自身は、ダイニングチェアにアームがない方が使いやすいと考えていました。アームがあるとテーブルの天板に当たってしまい、余分にスペースを必要とします。また、椅子に座る時や立ち上がる時に椅子を後方に引かないと出入りができません。

また一方で、アームがあることでゆったりと寛げるため、アームはあった方が良いとも考えていました。食事を終えてゆっくりとテーブルを囲んで談笑する時には、アームが必要だと考えたのです。

その結果としてデザインされたダイニングチェアが、PP701の特徴となる”半分の長さを持つアーム”でした。

PP701
ハーフアームにすることで座面がすっきりと収められ、座る時も動きを妨げません

アームを半分の長さにしたことで、ある程度まで天板の下に椅子を収めることができますし、座る時も横からスムーズに座ることができます。そして、アームがあるおかげでゆったりと過ごしたい時にはさり気なく腕を支えてくれるだけの十分な長さも確保されます。

まさに”必要にして十分”な過不足ない長さのアームを持つダイニングチェアが誕生したのです。

特徴②背筋がすっと伸びる収まり良い座り姿勢

ダイニングシーンでは椅子に座る際、食事がしやすい”垂直”ないし”少し前かがみ”となる姿勢が基本姿勢になります。

PP701は自然とこの基本の姿勢になるよう、椅子のアームに背中をぐっと寄せて腰かけた際、”お尻から腰にかかる曲線部分が椅子の外に出る”ようにデザインされています。

こうすることで人の背骨の描くS字ラインに負荷をかけることなく、すっと背筋が伸びる収まりの良い座り姿勢を作ることができるのです。

ウェグナーはこのPP701だけでなく、ダイニング用にデザインした椅子は、基本的にお尻から腰にかかる曲線部分が椅子から外に出るデザインを採用したと言われています。

PP701
当時のPPモブラーの工場長 アイナ・ピーターセン(左)とウェグナー(右)
PP701
お互いの意見を出し合い、納得がいくまで十分な話し合いを重ねた二人

こちらの写真は、PP701を設計中のウェグナーとPPモブラーの当時の工場長である、アイナ・ピーターセンです。ウェグナーはアイナと共にアイディアの意見交換をし、試行錯誤しながら製作を進めていきました。

この時もダイニングチェアのデザインとして、お尻から腰にかけてラインが外側まで出るよう、また腕や腰、背中を支えるアームの長さについて話し合う様子がうかがえます。

特徴③ゆったりとしたルーズな座り姿勢にも対応

PP701はすっと背筋が伸びた座り姿勢だけでなく、食後寛ぎの場でのゆったりとしたルーズな座り姿勢にも対応したデザインを目指しました。

PP701
お尻を座面の前にずらした姿勢で座るウェグナー
後ろに傾斜が付いた背もたれが身体をしっかり支えます

お尻を座面の前にずらした時に背中をゆったりと支えられるように、背の当たる面が少し後ろに傾斜しています。背もたれ上部はとても丁寧に仕上げられているため背中が当たっても痛くなることがありません。もちろん背もたれ下部も同様に丁寧に仕上げられているため、快適に身体を支えて座ることができます。

PP701の魅力③アーム×座面の多彩なバリエーション

PP701は、アーム部分の木種をオーク・メープル・アッシュ・チェリー・ウォルナットから選ぶことができ、座面の張地はレザー・ファブリックどちらも選ぶことができます。

木種は明るめのお色から深いお色まで用意しており、アームと座面のお色味の組み合わせによって異なる印象を与えてくれるバリエーション豊かな点も魅力の一つです。

PP701
かつて作られていたアーム部分がマホガニー、座面がブラックレザーの組み合わせ
PP701
デンマークにあるデザインミュージアムのカフェテリアで使われていたPP701
マホガニー×ナチュラルレザーの組み合わせ

PP701で選べる各種サンプルをご用意

当店では、PP701で選べる各種サンプルをご用意しています。

PP701サンプル
当店でご用意している木種サンプル
左からオーク、メープル、アッシュ、チェリー、ウォルナット
PP701サンプル
ファブリックサンプル(一部)
選ぶファブリックによって必要発注客数が変わります。詳しくはスタッフにお尋ねください。
PP701サンプル
各種レザーサンプル

尚、系列店では実際にPP701を展示しております。お試しをご希望の際はお気軽にお問い合わせください。

PP701
展示のPP701は、ウォルナット×ブラックの組み合わせ

PP701を取り入れたコーディネート事例

当店にて納めたPP701のコーディネート事例をご紹介します。

PP701
PP701はウォルナット×ブラックレザーの組み合わせ
上質な華やかさと清潔感のあるコーディネート
PP701
PP701はウェンジ×ナチュラルレザーの組み合わせ
ブラックやウォルナットの濃色で引き締め洗練された空間
PP701
PP701はオーク×ウォルナットレザーの組み合わせ
温かみのある上品な空間

【PP701/ミニマルチェア

サイズ:幅63cm / 奥行46cm /高さ68ないし70cm / 座面の高さ43ないし45cm

価格:お問い合わせください

PP701
PP701

ウェグナーとPPモブラーを代表するPP701ダイニングチェア。大阪の当店でもお試しいただけます。

ご希望のお客様はまずはお問い合わせください。



▽株式会社KEIZOグループ店舗一覧

REPUBLIC OF FRITZ HANSEN STORE OSAKA

DANSK MØBEL GALLERY